今日は何の日?~マンガで覚えるたのしい記念日~ 第31回 3月30日は「マフィアの日」
カレンダーを見ると「○○の日」と書いてあり、その日が何かの記念日になっていると気が付くことがあります。何かの日だと知るだけで、ちょっと今日が特別に感じて何かしたくなるもの。そんなときは、記念日に関係したマンガを読んでみるのはどうでしょう。本日3月30日は、マフィアの由来となった事件“シチリアの晩祷”が起きたことから「マフィアの日」とされています。これにちなんで、マフィアの出てくるマンガをご紹介します。裏社会の実力者、フリーライター、ヤクザの跡取り息子、みんな違ってみんなマフィア!
文・構成 / コミックナタリー編集部
吉田秋生「BANANA FISH」(小学館)
裏社会を仕切るコルシカマフィアのボスが、1人の少年に見せる執着心
ストリートキッズのボスであるアッシュは、自分の仲間たちが殺してしまった男からとあるカプセルを受け取る。その男が持っていたのは、戦争から廃人となって帰ってきたアッシュの兄・グリフがうわごとのようにつぶやく「バナナフィッシュ」に関する情報だった。新種の非合法麻薬を追いかけるアッシュの戦いと、そのアッシュと友人になった日本人・英二の絆を描いた「BANANA FISH」。物語の中で、彼らの前に敵として立ちはだかるのがコルシカマフィアのボス・ディノだ。政治家や軍人までも抱き込んだ恐るべき「バナナフィッシュ」計画の中心人物だが、その大物が抱く、アッシュを我が物にという執着心が騒動をより混沌とさせていく。「BANANA FISH」における裏の主役と呼ぶべき人物と言えよう。
大川ぶくぶ「GOHOマフィア!梶田くん」(KADOKAWA)
「ポプテピピック」大川ぶくぶがマフィア梶田を“材料”に描く破天荒ギャグ
坊主頭でヒゲを生やしサングラスをかけた巨体の男という、カタギには見えないビジュアルとその風体を自らネタにした筆名で強烈な個性を放っているフリーライター・マフィア梶田。ゲームや声優などを題材にした記事を多数執筆し、タレント的な活動もしていることから、コミックナタリー読者の中には「マフィア」と聞けばまず頭にマフィア梶田が浮かぶという人も多いのではないだろうか。そんなマフィア梶田を“材料”として大川ぶくぶが描く「GOHOマフィア!梶田くん」では、マフィア梶田が悲しい未来を救うため過去から裸でやって来たり、ハワイに行きたいといって本当に取材旅行に行ってしまったり、やりたい放題のギャグを展開。また1巻のカバーイラストは羽海野チカが執筆しており、マンガ本編にも羽海野は多数登場している。
「GOHOマフィア!梶田くん」 – 電撃G’sマガジン.com(KADOKAWA)
TAGRO「マフィアとルアー」(星海社)
青春の澱を物語に詰め込んだ“「変ゼミ」のTAGRO”もう1つの代表作
旅先で出会った少年に、地元の釣り場を案内してもらう冴えないマンガ家の青年。共通の趣味や、年齢の割に頼りなさを感じさせる青年の言動に少年は親しみを覚え、会ったばかりだが2人は打ち解けていく。その中で明かされる、ヤクザの跡取り息子だという少年の素性。立場も住む場所も違う2人は、ここで再会の約束などしても、もう会うことはないのかも知れない。それでも「またな!」と手を振った瞬間、青年の中にくすぶっていたとある思いが決着を見せる! 表題作を含む単行本「マフィアとルアー」は、TAGROの私小説的作品を集めた短編集。アニメ化されたことでも知られる「変ゼミ」とは別ベクトルにある作家性が発揮された、TAGROのもう1つの代表作と呼べる1冊だ。